はじめにクラウドネイティブのインフラサービスの利用が盛んな近年、システム運用において注目されている「オブザーバビリティ」の正しい意味や必要性、「モニタリング」との違いを解説します。オブザーバビリティとはオブザーバビリティ(obsearvabilitiy)とは、「観察(obsearve)」と「能力(ability)」を組み合わせて作られた造語で、日本語では「可観測性」と訳されます。IT分野においては、「システム内部の状態を監査し、エラーを検知することに加えて、その原因を分析・特定すること」、もしくは、それを行うことができる能力や状態のことを指します。モニタリングとの違いオブザーバビリティを語る際によく俎上にあがるのが、モニタリングとの違いです。言葉は似ていますが、この2つには大きな機能的な違いがあります。モニタリングシステム内部を監視し、エラーを検知することオブザーバビリティシステム内部の状態を監視し、エラーを検知することに加えて、その原因を分析・特定することモニタリングとオブザーバビリティの違いを整理すると、「エラーを検知した後に、その原因を分析特定できるか否か」にあることがわかります。オブザーバビリティの必要性では、オブザーバビリティはなぜ重要なのでしょうか。その理由は近年のクラウドサービスの普及にあります。ビジネスの現場でクラウドが一般的となり、クラウド上でアプリケーションを実行したり、ソフトウェアを開発することが当たり前の世の中になりました。Amazon Web ServiceやMicrosoft Azureを用いて自社サービスを開発したり、基幹業務にクラウド型のソフトウェアを導入したり、今やクラウドサービスとビジネスは切っても切り離せない関係になっています。便利なクラウドサービスですが、その反面、システムが分散し、会社全体としてシステムの全容を把握することが難しくなってきました。その結果、システムでトラブルが発生した際、対処に時間がかかり、最悪の場合ユーザーが離脱してしまうという問題が起きます。そこで、注目を集めるようになったのが、複雑化するシステムのエラーに早期の対処が可能となる「オブザーバビリティ」です。オブザーバビリティの特徴は先ほど述べたように「エラーを検知し、その原因の分析・特定を行う」ことです。それによって、早期にエラーに対処し、システムの可用性と信頼性を底上げします。その結果ユーザー体験を損なうことなく、ビジネスを継続することが可能になります。オブザーバビリティとはビジネスにおいて、クラウドの利活用を促進させるために重要な考え方であるといえます。最後にオブザーバビリティとは、ビジネスにおけるクラウドの円滑な利用を促進する概念です。便利なクラウドサービスも適切なセキュリティが施されていなければ、時にビジネスを遅延させる原因となってしまいます。一方で、セキュリティを堅固にしてしまうと、却ってクラウドサービスの利用を妨げてしまいます。クラウド利用とセキュリティの両立が、大切な要件になります。