SASEとは、「Secure Access Service Edge」の頭文字をとっており、企業で使用されるIT機器の通信とセキュリティ機能をクラウド上のサービスで統合する、新しいITフレームワークです。このようなフレームワークは現代企業のIT環境の課題をどのように解決することができるのでしょうか?本記事ではこれらを詳しく解説します!はじめに新型ウイルスの蔓延によって、日本企業のデジタル変革は急速に進みました。多くの企業は従来の自社サーバーやPC上のIT環境から、クラウドへの移行を進めました。クラウドへの移行は、勤務場所を選ばないリモートワークや、端末間での同期など便利な機能をもたらしました。しかし、これに伴い新たなセキュリティ課題も浮上しています。現代のビジネス環境にはどのようなセキュリティリスクが潜んでおり、 SASEはどのように解決することができるのでしょうか?SASEとはSASEは、クラウド環境上で展開される新しいネットワークセキュリティ技術です。ユーザーの身元やデバイスのセキュリティを評価することで、様々な場所から安全にクラウドサービスに接続することが可能となりました。また、異なるクラウド環境間で一貫したセキュリティポリシーの適用も実現しており、安全かつ便利な機能を持つSASEの需要は高まっています。現在ビジネスにおけるIT環境の変化と課題①リモートワーク環境でのセキュリティ不足スマートフォンやPCなど、個人がインターネットと接続する端末をエンドポイントと呼びます。リモートワークが新しい労働スタイルとして確立している中、それに呼応して企業ネットワークに接続するエンドポイントの数も急速に増加しています。これにより、それぞれのデバイスが潜在的なセキュリティリスクとなり、適切なセキュリティ対策を行うことがますます困難になっています。例えば、脆弱性のあるリモートワーク機器から不正アクセスされ、会社のネットワークにも侵入されてサーバなどを攻撃される被害が報告されています。このように、企業のネットワークと比較してセキュリティが不十分であり、データの漏洩などのセキュリティリスクが高まる場合があります。②マルチクラウド環境でのセキュリティ管理の複雑化多くの企業は複数のクラウドサービスを組み合わせて使用する、マルチクラウド環境を運用するようになりました。しかし、多様なクラウドサービスを組み合わせて使用することで、データの流れが複雑化し、それぞれのサービスのセキュリティ設定やポリシーが異なるため、一貫したセキュリティ管理が困難になる可能性があります。例えば、企業がAWSとAzureを同時に利用している場合、両者でサポートされているセキュリティ機能が異なり、それぞれに適したセキュリティ設定を行う必要があります。このような環境では、セキュリティ設定の誤りや見落としが生じやすく、それがデータ漏洩などのセキュリティインシデントにつながる可能性があります。③高度化するサイバー攻撃サイバー犯罪者たちは技術を駆使して新たな攻撃手法を開発し、企業のデータを狙っています。ランサムウェア攻撃、フィッシング攻撃、ゼロデイ攻撃など、様々な脅威が存在し、それらに対抗するためには最新のセキュリティ技術と専門知識が求められます。例えば、2021年には、大手石油パイプライン企業Colonial Pipelineがランサムウェア攻撃を受け、その結果パイプラインの運行を停止せざるを得ない状況に陥りました。また、フィッシング攻撃により、従業員が誤って機密情報を攻撃者に渡してしまう事例も頻繁に報告されています。SASEが解決する課題これらのリスクに対して、SASEは以下のような解決策を提供します。①安全なリモートアクセスの提供SASEは、どこからでもセキュアにネットワークに接続することを可能にします。また、ユーザーの身元やデバイスのセキュリティステータス、ネットワークの状況などを評価し、それに基づいて接続を許可または制限します。さらに、エンドポイントからのトラフィックを直接、安全にインターネットやクラウドサービスに接続することが可能になりました。各エンドポイントからデータセンターや企業ネットワークにトラフィックを送信する必要がなくなり、リモートワークにおけるデータ漏洩リスクなどを軽減することができます。②マルチクラウドでのセキュリティーポリシーの統一SASEは、ネットワークセキュリティとWAN機能(異なる地域間で通信する機能)を統合し、クラウドベースで提供します。これにより、異なるクラウド環境間でも一貫したセキュリティポリシーの適用と管理を実現します。これにより、マルチクラウド環境でのセキュリティ管理の複雑さを軽減することができます。③ネットワークベースでの脅威の検出SASEは、ネットワークトラフィックをリアルタイムに監視し、異常な行動や脅威を即時に検出し対応する機能を提供します。また、ゼロトラストネットワークアクセス (ZTNA) の原則に基づき、必要最小限のアクセス権限のみをユーザーやデバイスに付与します。これにより、ランサムウェア攻撃やフィッシング攻撃などの高度なサイバー攻撃に対抗することができます。これらのように、SASEは現代のビジネス環境で直面する複数のリスクに対して効果的な対策を提供します。そのため、多くの企業がSASEの導入を検討し、その実装を進めています。各セキュリティソリューションの違い横文字だらけのセキュリティ界隈ですが、似たようなソリューションが存在しています。これらについて一度整理してみましょう。1.CASB (Cloud Access Security Broker):CASBとは、企業が利用するクラウドサービスのセキュリティタスクを一括管理するためのソリューションです。CASBを使うことで、クラウドサービスの利用状況が可視化できるようになりました。また、クラウド上のデータの監視やシャドウITの検出も可能となったため、CASB製品を利用することでクラウド環境でのセキュリティリスクが大幅に軽減されます。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.skygate-tech.com%2Fblog%2Ffind-the-shadow-of-it-with-casb%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fd5hBpOM%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E2.SIEM (Security Information and Event Management):SIEMは、企業のネットワーク内で発生する様々なセキュリティイベントとログデータを一元的に管理します。これにより、潜在的な脅威を迅速に検出し、適切な対応を取ることが可能になります。SIEMは主にログ管理、脅威検出、インシデントレスポンスの領域で活用されます。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.skygate-tech.com%2Fblog%2Fsiem-solution-for-the-security-team%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FWXCph3C%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E3.SOAR(Security Orchestration, Automation, and Response):SOARとは、セキュリティオペレーションとインシデント応答の効率化と自動化を目指す技術です。多様なセキュリティアラートを収集し、それらを分析し、適切な応答策を自動的にまたは半自動的に実装することを可能にします。SOARは、時間と労力を節約し、組織のセキュリティ体制を強化することが目的となります。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.skygate-tech.com%2Fblog%2Ffuture-of-security-with-soar%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FB0cEbOb%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3Eまとめこの記事では、現代のビジネス環境で増大するセキュリティ課題に対する解決策としてSASE(Secure Access Service Edge)について詳しく解説しました。現代ビジネスが抱えるセキュリティの課題に対して、SASEは新たな解決策を提供します。リモートワーク、マルチクラウド環境、エンドポイントセキュリティの問題、そして進化し続けるサイバー攻撃に立ち向かうための強力なツールです。