Written by Skygate Technologies PR team
2020-12-06
こんにちは!スカイゲートテクノロジズCEOの粟津です。
前回は、私たちのチームについてお伝えしました。
今回は、地上局とセキュリティのお話をします。
その歴史上、放送通信の中枢を担う地上局は、電話の交換局やインターネットのIXと同様に、重要な無線設備として認識されてきました。そのため、各国の電波法令や電気通信関連法令により、その管理や運用について、多くのレギュレーションが定められています。
一方で、昨今拡大が著しい地球観測衛星のデータを受け取るゲートウェイとしても、地上局は重要な役割を果たします。
日本を始め、先進国のいくつかの国では、安全保障上の理由から、観測データの保護のための法的規制を敷いています(日本では衛星リモセン法が整備されています)。
これらのデータ保護の法律は、主に観測データや観測衛星がテロリストなどに悪用される等の安全保障上の懸念を防ぐことを目的にしています。一方で、観測データのビジネスに対し、必要以上の制約にならないよう規制当局側に対してもバランスが求められています。
こういったレギュレーションやコンプライアンスは、決して地上局のみを対象にしたものでなく、電波や電気通信の適切な利用、そして、データの安全な管理といった観点で事業者が守らなければならないものとして整備されています。
データ、という意味で、観測データは安全保障だけでなく、個人のプライバシーや企業活動の秘密を侵害しないよう適切に運用する必要があります。
すでにインターネットでは、個人のアクセス履歴やcookieの利用、様々なログデータの二次利用について多くの議論が巻き起こっています。地球のはるか上空とはいえ、地上のデータを取得する観測衛星のシステムも、こういった議論の中で同列に語られる日は遠くはないでしょう。
現時点で、国際的な地上局のコンプライアンス・スタンダードはありません。
しかし、交換機の集まりであった通信局舎がデータセンターに変わり、国際的なスタンダードが確立されたように、今後は多くの事業者がビジネスを作る中で、議論されていくかもしれません。
先に説明した規制の多くは、安全保障上の論点抜きに語ることはできません。
地球観測は、研究学問の分野と並行して、軍事の分野でその技術を開花させてきました。現在も、多くの国が偵察衛星を運用し、警戒・監視・情報収集を行っています。
北米の観測衛星スタートアップのいくつかは、DARPAやNRO(国家偵察局)といった軍・安全保障の資金によって研究開発されていることが知られていますね。非軍事研究を中心に宇宙分野を発展させてきた日本ではこういった動きは控えめですが、民間に開いた宇宙開発も、まだまだ国際的には安全保障の影響を受ける傾向にあります。
また、データだけでなく、電波空界内の情報を取得し分析するSIGINTの世界、宇宙空間上の物体監視を行うSSA(宇宙状況把握)の世界など、宇宙と安全保障を取り巻くトピックは現在も絶えることはありません。私自身も防衛省出身ですが、地上局は陸海空のいずれの歴史でも陰ながら登場する重要設備です。
地上局は、このように多くの規制やコンプライアンス、そして安全保障の様々な要請の渦中にあり、重要な役割を果たす存在です。
ひとたび、地上局が本格的な脅威に晒されれば、せっかくのビジネスに対し大きなネガティブインパクトになりかねません。
宇宙ビジネスのリスクをしっかりとテイクできるインフラとして、私達は、安全で安心できる地上局と関連システムの開発・提供を目指しています。