2025年10月に特定非営利活動法人「宇宙利用を推進する会(CO-JASPA)」が主催した勉強会において、スカイゲートテクノロジズ 代表取締役社長の粟津 昂規が登壇しました。本講演は、宇宙システムのセキュリティに関する専門家としてご依頼いただいたものです。粟津は「なぜ我々は狙われるのか? サイバー空間における安全保障の力学と防衛線」と題し、現代の安全保障における宇宙とサイバー領域の重要性と、それらを守るための具体的な防衛戦略について解説しました。講演の要旨は以下の通りです。講演要旨:「なぜ我々は狙われるのか? 〜サイバー空間における安全保障の力学と防衛線〜」現代の安全保障において、宇宙空間は陸・海・空といった各領域の能力を国境を超えて統合するために必要不可欠な基盤です。一方で、サイバー攻撃は物理的な破壊を伴わず、攻撃者を特定されにくい「見えない攻撃」であり、経済合理的にも優れた戦略手段となっています。このため、「相手の統合運用能力(防衛能力)を、目に見えない形で経済合理的に奪いたい」という明確な動機を持つ攻撃者にとって、宇宙関連インフラは格好の標的となります。従来の「多層防御(城のように入口・内部・出口を固める)」 という考え方は、クラウド化やグローバルなサプライチェーンの複雑化により、現実的ではなくなってきています。現代の攻撃者は、私たちが「信頼せざるを得ない」ものを弱点として狙います。講演では、具体的な脅威として以下の3点を解説しました。エンタープライズを支えるもの(基幹ソフトウェア)への脅威デジタルの先のサプライチェーン(委託先など)への脅威普通と見分けがつかない(OS標準などを悪用するLotL攻撃など)脅威これらの複雑な脅威から宇宙システムを守るためには、もはや「境界」で防ぐことは困難です。被害を前提としたレジリエンシ(回復力)の向上が不可欠であり、そのために「平素からの早期警戒と連携」 、「ゼロトラストと対話」 、「脅威インテリジェンス主導の防御」 という3つの戦略が重要となります。スカイゲートテクノロジズは、今後も防衛テックのリーディングカンパニーとして、宇宙・サイバー領域における日本の安全保障基盤の強化と、社会全体の存続可能性向上に貢献してまいります。