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Day 1:現在の宇宙産業を取り巻く背景~SPACETIDE 2020 YEAR-END特集 7 days カウントダウンブログ~
Updated: Dec 3, 2020

ご挨拶
こんにちは!スカイゲートテクノロジズ代表の粟津です。
8月に資金調達のプレスリリースを出して以来、大きな情報発信をしていなかった弊社ですが、おかげさまで多くのメディアさんや国内外のお客様からさまざまな質問を頂く機会が増えました。
また、2020年12月4日より行われる宇宙業界の一大イベント、「SPACETIDE 2020 YEAR-END」に登壇させていただくこととなりました。
私の登壇日は、12月8日(火)「Space Business Summit for 2030」と9日(水)「Space NIGHT -IGNITION」です。
せっかくの機会ということで、本日から12月7日までの7日間、「SPACETIDE 2020 YEAR-END特集」として、弊社について紹介するブログを更新します! 弊社についてご理解を頂きますとともに、イベントまでのカウントダウンを微力ながら盛り上げていけましたら幸いです。
(そして、最後まで完走できますよう、応援頂けますと幸いです…!)
さて、私達についてお伝えする前に、現在の宇宙産業を取りまく背景について説明をしないといけません。
…というわけで、1日目のテーマは、「現在の宇宙産業を取り巻く背景」です(宇宙産業に詳しい方は読み飛ばして、2日目以降へ!)
Day1 今の宇宙産業を取り巻く背景
これまで政府や大企業が主導してきた宇宙産業では、今後、民間企業が参入し変化する兆し
新たに登場するインターネットやデータビジネスとしての宇宙利用
世界中の人がインターネットに繋がる+都市や地域のデータが宇宙から降ってくる時代に
重厚長大な宇宙産業の変化の兆し
長年に渡り、宇宙産業では、政府や大企業の主導のもと、ものづくり分野、放送・通信分野がメインを占めてきました。
ものづくり分野では華々しいロケットの打上げ、放送・通信分野では、人工衛星によるBS放送・船舶や離島で利用できるインターネットなどが宇宙産業を牽引するドライバーの1つであったと言えます。

これらのビジネスは、それなりに大きな財務基盤・経営体力・エコシステムが必要となる世界でした。
ところが、近年、これらの世界には、ビジネス体系を革新するような変化が起こりつつあります。
ものづくり産業では、アメリカのSpaceXやRocket Lab、日本のインターステラテクノロジズといった民間企業が参入し、その技術や価格に大きなインパクトを与えようとしています。
また、放送通信産業には、SpaceX、Amazonはもとより、ソフトバンクも過去に出資したOneWebといった会社が参入し、「全地球衛星インターネット」を確立しようと多数の通信衛星を打上げ始めています。
かつて重厚長大だった宇宙産業は、新しい技術の導入、民間への資金供給と発展、そして新たな需要の開拓に向けて、大きく変化しつつあるといっても過言ではありません。
通信の海からインターネットの海へ
宇宙産業は、大きくものづくり分野と放送・通信分野に分類されると書きました。
後者の放送・通信分野の新規参入企業には、米国市場を牽引する最大の成長企業、Amazon、Microsoft、Facebookらも名前を連ねています。

新規参入企業の多くは、インターネット通販とクラウド、エンタープライズサービスとソフトウェア、ソーシャルと広告のリーダーであり、いずれもシリコンバレーのWeb文化とともに育った巨大企業です。
ロケットも衛星も作ってこなかった彼らが、なぜ宇宙産業に参入しようとしているのでしょうか?
共通の狙いは、宇宙=全地球のインターネットのスムーズな利用にあると捉えています。
皆さんもご存知のように、彼らは、インターネットビジネスの環境を激変させました。しかし、その成長はまだ、インターネットが行き届いている地域に限られます。多くの途上国、特にインターネットが行き届いていない地域では、ソフトウェアやインターネットによるビジネスを浸透させることは困難です。
インターネットは、多くの電気通信事業者によって各々の国に整備された回線網の上になりたっています。しかしそれでは、インターネットに繋がらない顧客市場の開拓は、電気事業者による回線網の整備を待つばかりとなってしまいます。
そこで、インターネットビジネスのビックプレイヤーたちが自ら、地球を覆わんばかりのインターネット網を宇宙上に構築することで、ビジネスを拡大するーーー
まるでSFのようですが、彼らの宇宙産業の参入の狙いは、こういったところにあります。
世界中にテレビ放送や電話回線を届けるために使われた宇宙は、今後、国・地域からでもコンピュータやスマートフォンでサービスを届けるために使われようとしています。
新たに登場する「データの宇宙」
そんな中、宇宙産業にはもう1つの新たなビジネスドメインが誕生しようとしています。それはデータ活用の領域です。
現在、膨大な量の小型の観測衛星の打ち上げが各国で計画されています。そしてその多くは、民間企業が開発し、打ち上げるものです。

観測衛星とは、カメラやレーダー、センサー機器を搭載して、地球表面を観測し、そのデータを地上に送信するものです。例えば、天気予報は、多くの人が知る観測衛星のサービスですね。
長年、学問や研究分野において、地球観測のために多くの観測衛星が開発・打上げられ、様々なアプリケーションやプロダクトの可能性が研究されてきました。新たに登場するドメインは、この流れを組みつつ、よりコンピューティングやソフトウェアの力で付加価値や顧客体験を生み出そうとする流れです。
データを活用して、より新しいソリューションやサービスを生み出そうとする動きが活発になっています。
ドローンやIoTセンサーによって、地域や都市のデータを処理しビジネスに役立てる流れが拡大されています。これらに加えて、より多くの地域を、より大量に、より定期的に観測し、データとして処理する仕組みが、宇宙に整えられようとしています。
クラウド、そしてデータに近づく宇宙
現在、データを活用するシステムの多くがクラウドで提供されています。インターネットを経由する多くのサービスは、クラウド上で動作し、コンピューティングとソフトウェアの力で顧客体験を生み出し、スケールさせています。
これからは、新規参入企業の取り組みにより、宇宙を通じてさらに多くの人々がインターネットにつながることになります。そして、インターネットビジネスのビックプレイヤーたちは、自社のクラウドコンピューティング基盤を持ち、数億人単位のユーザーサービスを実現しています。
彼らが宇宙事業で覇権を握ったとき、70億人を超える全世界の人びとががクラウドを経由して、多くの宇宙によるサービスを利用していくことになるでしょう。
そのサービスは、個人向けのサービスだけではありません。
都市や地域単位でのセンシングデータを宇宙から取得してビジネスに役立てる時代が来ます。発展途上国を含む様々な国の詳細な道路地図の作成や、一次産業や二次産業の計測・最適化、金融アナリスト向けの分析など、多くのユースケースが生み出されていくでしょう。
都市や地域、更には国単位のデータは、より社会にインパクトの大きいアプリケーションの実装を可能にします。
今後は、そのデータが、宇宙から降ってくる時代になるのです。
次回
今回は、宇宙産業を取り巻く背景についてお伝えしました。次回は、弊社の創業についてご紹介します。